学校長より

逆境に活きた「文武両道」「質実剛健」
~ ピンチをチャンスに変えた2020(R2)年度 ~

〈2021.4.1〉

 100年に一度の感染爆発は世界を変えてしまいました。高校生にとっても辛い1年でした。head_teacher-R3.jpg

年度当初から長期にわたる一斉臨時休校。1年生はクラスメイトの顔も見ないまま2か月間を過ごし、2年生は部活動に没頭できる貴重な時間を失いました。3年生は大学入試改革の波に揉まれ、大学入学共通テストの不安に苛まれながらストレスフルな毎日を過ごしました。こんなピンチは誰も経験したことがありません。

 以下、そんな状況で本校が考えたことや実施した対策と成果について書きます。

【オンラインホームルーム】

 何より心配だったのは生徒のメンタルでした。

 ステイホームで家から出られない状況で、出口の見えない不安に押しつぶされている生徒はいないか? ご家族にとってもこんなに長い休校は初めての経験なので、家の中にストレスが充満しているんじゃないか?

 そこで実施したのが「オンラインホームルーム」です。

 学校に来られなくても、同時双方向型のツールを使えばPCやスマホの画面を通じてクラスメイトや担任の顔を見ることができます。 学校という場所にアクセスすることが人間関係をより良好な方向に向かわせる契機になるのではないかと考えました。

【学年ブログの開設と授業動画の配信】

 どんな状況であっても学びを止める訳にはいきません。

 我々が考えたことは2つです。 ひとつは学力の保障。そしてもうひとつは、家庭と学校の繋がりを保つことです。

 教科書やプリントを使った学習では復習の域を出るのが難しい。学びを先に進めようとすれば授業動画の配信は不可欠です。 

 この問題に対する八尾高校の答えは、会員限定の「学年ブログ」の開設でした。

 生徒しか閲覧できないようにセキュリティを設定し、授業動画を配信しました。

 家庭の事情もあるでしょうし、PCを家族で共有している場合もありますので、課題に取り組む時間は自由です。 各教科の教員が工夫を凝らした授業動画を配信しました。

 授業動画配信の目的はそれだけではありません。 国数社理英といった受験に必要な教科だけではなく、体育や保健、家庭科といった教科が授業動画を出すことの意味も大きいと考えました。 それが、"家庭との繋がりを保つ"ということです。

 例えば、体育では、1年生に青年体操(八尾高校独自の体操で体育授業の最初に必ず行うもの)の動画を配信し、練習しておくことを課題にしました。 家庭科では、卵焼きの作り方を解説する動画を配信し、臨時休校明けに実技テストを行うことを伝えました。 その結果、学校と家庭、保護者と生徒との関係に大きな変化が起きました。

 臨時休業明けに何人もの生徒や保護者にきいた話ですが、例えば、親子でキッチンに立って卵焼きの練習をするのが楽しかったとか、運動不足解消のため親子で一緒に青年体操の練習をしたなど、みなさん嬉しそうに教えてくれました。

【第一志望を諦めない進路指導】

 八尾高校は、多くの生徒が国公立大学への進学を希望している学校です。

 一方で、令和3年度大学入試は、導入された大学入学共通テストへの不安や一斉臨時休業による学習の遅れへの懸念で超安全志向の志願動向となりました。

 しかし、八尾高校は、こんな時だからこそ第一志望は諦めてほしくないと考えました。

 いろんなことを我慢して、理不尽さや矛盾を抱え込んで臨む大学入試です。戦う前から第一志望を変えるのは辛すぎると考えました。 また、超安全志向のトレンドがあるからこそ第一志望校合格のチャンスがあると考えました。

 この話は、生徒の意識を変えるだけではどうにもなりません。保護者の考えも変えてもらわなければ掛け声だけに終わってしまいます。

 結果はどうなったのか。このあと、データを示します。

【部活動入部率の向上】

 八尾高校に入学する生徒の多くが部活動を楽しみにしてくれています。

 私は校長として、毎年、本校を受験する中学生が書いてくれた自己申告書をすべて読みます。令和2年度入試で本校に出願してくれた生徒の自己申告書にも、部活動に関する記述がたくさんありました。

 本校の魅力の一つが部活動ならば、コロナだからと言って入部率を下げることはできないと考えました。 八尾高生が八尾高生らしくあるために部活動は不可欠です。

 もちろん多くの制限はありましたが、上級生の頑張りによって、なんと、例年以上の入部率を得ることができました。

【同時双方向型授業で家庭学習支援】

 一斉臨時休校が明けた後も、家庭学習支援が必要な場面がありました。

 例えば、保健所から濃厚接触者に特定された場合、2週間の自宅待機が必要です。

 2週間という長期にわたって登校できない状況を紙ベースの課題だけで乗り切るのは非常に困難です。

 そこで、本校では、教室にタブレットを設置し、当該生徒の自宅と同時双方向で繋ぐことにより授業のライブ配信を可能にしました。

 これも、一人ひとりを大切にする八尾高校の基本方針が形になったケースです。

【同窓会との連携】

 新聞等のメディアでも取り上げていただきましたので、ご存じの方がおられるかもしれません。 コロナ禍中の令和2年度に発売した「八尾きつね山カレー」は8,000食を超える売り上げを記録しました。

 「八尾きつね山カレー」は同窓会が主体となってオール八尾高で取り組んだプロジェクトで作ったレトルトカレーです。 八尾市ふるさと納税の返礼品にも選んでいただきました。 「八尾きつね山カレー」は2種類。1つは学校食堂のスペシャルメニューとして作ったもの。そしてもう1つは本校食物研究部が地元の小松菜を使ったレシピを開発したものです。 臨時休校による食堂閉鎖で苦境に立たされた学校食堂を支援する取組としても注目を集めました。

 また、2年生の「総合的な探究の時間」では、地元八尾市をもっと素敵な街にすることをテーマに八尾市役所のみなさんや卒業生の企業などにお世話になって、探究活動を進めました。 コロナ対応で大変な時に、本校生徒のためにお力を貸していただいたみなさまに心から感謝しています。

 コロナ禍はピンチに違いありません。

 しかし、この1年を振り返ってみると、悪いことばかりではなかったように思います。 

コロナに限らず、何かを理由にして「できない」と言うのは簡単ですが、それは無責任だというのが私の考え方です。

 令和2年度は次から次へとピンチが降り注いでくるような1年間でしたが、そのうちのいくつかでもチャンスと捉えて取り組んだことで、今まで以上の成果を得ることができました。そんなことができたのも、八尾高校の伝統である「文武両道」「質実剛健」の理念が真のものであり、しっかりと根づいていたからだと思っています。

令和2年度の主な成果

~ 「学校経営計画・学校評価」「学校教育自己診断」等より ~

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令和2年度は、感染症対策を徹底し生徒の主体性を活かしながら、修学旅行、遠足(1年生)、体育祭、文化祭をすべて実施しました。

令和3年度も、生徒第一主義の学校運営でコロナ禍を乗り越えていきたいと思います。

八尾高校 校長  藤井 光正