学校設定科目『創知』

令和6年3月7日 令和5年度「創知Ⅱ」課題研究発表会

本校2年生は、自ら設定した課題について1年間研究し、学年末にその成果を発表しています。SSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)校である本校独自の教科「創知」の取り組みです。生徒は班ごとに研究を進め、論文を作成したうえでポスター発表をおこないます。今年は90の班が物理、化学、生物、数学、文献研究、オープンデータ、プログラミングの分野に分かれて研究しました。以下にそのいくつかを紹介し、生徒の声も載せました。

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これは90本の論文を集めたものです。執筆した2年生だけでなく、1年生にも配布され、新年度に向けて気持ちを作るよう促します。

 

【数学分野】「n×n×nの立体魔法陣の対角線を揃える」

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算数を習ったばかりの小学生も興味をもつ魔法陣。「この数字の並びには、法則があるよね。」と意見が合ったメンバーの間で、「じゃあ、立体の魔法陣だったらどうなる?」ということで研究を進めました。立体でも、タテ一列とヨコ一列の和がすべて等しくなるようにすることはできるハズ。その先行研究は既にある。では、対角線の和を揃えることは...? それが出来る方法を見つけ、証明できたことを、今回発表しました。「3×3×3、4×4×4、5×5×5・・というように数字を大きくするにつれて、一般化に近づいていく...それが面白かった。」「n進法を使わないと大変。nが奇数の場合と偶数の場合で違う気がする。今後の課題です。」

 

【化学分野】「適切な直接ろ過法の検討~池の水を奇麗にする方法~」

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発展途上国など水利のよくない地域で、清潔な水を手に入れる方法はないか研究しました。寝屋川治水緑地と桃が池の水を汲んできて、不純物を凝固させ、それを取り除くことで水をキレイにする。そのためには、不純物を凝集させる物質をどれくらいの割合で入れるか?pHは?撹拌の速度と強度は?-等等等。実験を繰り返し、様々な角度から考察を進めました。「あ!撹拌翼の面積を2倍にして計算しないと...」発表中に気が付いたこともありました。

 

【オープンデータ分野】「One Healthを大阪から世界へ」

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「One Health」という概念は、WWF(世界自然保護基金)等の国際機関が提唱したもので、コロナのような人獣共通感染症予防へのアプローチとして用いられています。日本ではまだまだ認知されていないので、その状況を確認し、普及させる方法を考えました。 SDGsとの違いは?―SDGsの中にOne Healthがある、つまりSDGsの中の感染症予防に焦点を当てたもの。  日本では唯一取り組んでいるのが福岡市と福岡県ということだけど、なぜ福岡?-今、問い合わせ中です。 研究は今後も続くようです。

 

【化学分野】「メイラード反応の性質とその活用」

メイラード反応というのは、糖とアミノ酸を混合して加熱すると、メラノイジンが褐色になる反応のこと。たとえばケーキのスポンジを焼いたときに褐色になるのがそうです。何か食生活に関係した研究をしたい、と思った5人が集まって研究しました。「料理の科学」というサイトを見ているうちに、この研究に行き当たりました。アミノ酸水溶液3種と糖の水溶液3種をそれぞれ混合して加熱し、メラノイジン生成量の違いを、吸光度を測定することで調べました。「同じ実験をしても、反応が速かったり遅かったりして、苦労しました。」

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【GLHSフクシマ研修】「安全と安心はどう違うのか?」

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昨年12月25~27日、GLHS(グローバルリーダーズ・ハイスクール)合同国内研修(東京・福島方面)が実施され、本校からも2人が参加しました。その報告です。
「安全」と「安心」の違いを様々な角度から検討し、安全とは他人が作り出せるもの、安心とは自分が感じるもの、との結論に至りました。福島には今でも被災した民家がそのままの姿で残っているのが衝撃でした。「家が全壊なら補助金が出るけど、半壊なら出ない。それってどうなのか?」「双葉町のJR駅舎の時計は2時46分で止まったまま。撤去したいけど、その費用が何千万円もする。町の人口は80人くらいだから、そんなところに貴重なお金は使えない...」いろんな矛盾を感じました。「安全、安心のためには、自分で考えないといけません。だからこそ自分に関係ないと思うことでも、先入観をもたずに足を踏みいれてみませんか?東日本大震災から今年で13年。自分の行動が何かを大きく変えるかもしれません。」