第73回卒業式を行いました

本日、3月1日 第73回卒業証書授与式を挙行し、27名の卒業生を送り出すことができました。

4年間にわたって夜に勉強して卒業する・・・実に立派なことだと思います。卒業した生徒たちには率直に敬意を表したいと思います。

卒業式の式辞を以下に掲載しておきます。もし、卒業生の目に留まって文字でみてもらえると、意味もよくわかってくれるのではと期待しています。

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式辞

三月を迎え、厳しかった寒さがようやく和らごうとする今日、この夜の学び舎から二七名の生徒の皆さんが輝かしい未来にその一歩を踏み出されます。

 本日 第七三回卒業証書授与式を挙行いたしましたところ、保護者の皆様はじめ本校定時制の関係の皆さまに多数ご参列いただきました。
誠にありがとうございます。保護者の皆様におかれましては、お子様のご卒業を心よりお祝い申し上げます。

さて、ご入学以来、教職員一同、ご期待と信頼に添うべく全力を傾け、教育活動に邁進してまいりました。何かと至らぬ点も多かったかと思いますが皆様のご理解をいただき、今日ここに卒業式を迎えられることに感謝申し上げます。

ただいま、大阪府立桜塚高等学校 定時制の課程を修了した 二七名に卒業証書を授与いたしました。卒業生の皆さん、ご卒業、おめでとうございます。皆さんが卒業に至るまで本校で積み重ねた日々の努力にあらためて敬意を表したいと思います。そして皆さんにはこの間支えていただいた、保護者の皆さまや先生方をはじめ、お世話になったすべての方々への感謝を忘れず、これからの皆さんの成長の糧としてほしいと願っています。

本校は、創立八五年目となる、定時制としては府下でも有数の伝統校です。
卒業される七三期の卒業生の皆さんも、これまで本校に長きにわたって受け継がれてきた校風や精神を学び、成長して来られたことと思います。これからの人生においても、これまで経験したことを礎(いしづえ)とし、決して穏やかではない現代社会においても、自分を見失うことなく、それぞれの大切な人生を自分らしく生きてほしいと願ってやみません。

 私から、皆さんへ卒業のはなむけとして送りたい言葉を紹介します。

「人生-邂逅(かいこう)し、開眼(かいげん)し、瞑目(めいもく)す」 

これは 昭和期に活躍された 亀井勝一郎氏が人生について記した言葉です。

実は私が皆さんと同じ高校生の頃に、好んでこの方の本を読んだ時期がありました。
今思えば、その時の自分は、これからの人生について迷っていたのだと思います。この手の本を数多く読んでいました。そしてこの言葉に出会ったのです。私がひきつけられたのは「邂逅」という言葉です。
少し難しいことばですが、辞書を引いた時「おもいがけなく出会うこと」とありました。そして、もう一つの「邂逅」の意味するものとして「人生を変えてしまうような運命的な出会いのこと」とありました。

私が心惹かれたのはこちらでした。この言葉は「人生にはその人の運命を左右するような出会いが何度かある。そして、それを繰り返すうちに次第に物事がわかるようになり、人生に意味を見出すことができる。」と自分なりに解釈したことを覚えています。

もちろん良い意味での邂逅ばかりではありませんでしたが、自分と関わる人や出来事を「この出会いや出来事は自分の人生においてどのような意味を持つのだろう」と考えるようになりました。

「人生において無駄なことは何一つとしてない。」いまはつらく厳しくともその出会いや出来事は必ず自分の糧となると信じて生きるようにしました。

私が皆さんに伝えたいのは、人生における「邂逅」を大切にしてほしいということと、これから起きるすべての事には必ず意味がある、無駄ではないと考えてほしいということです。
だからこそ、すべての人や出来事との出会いに真剣に向き合い、大切にしてほしいと思います。人生において無駄な出会いはひとつもありません。

この「夜桜」で出会った人や思い出、そしてこれから出会うすべて人や物事を大切にしてください。その中に必ず「運命の邂逅」があるはずです。
それは一度だけではありません。その出会いを通じて学んで、豊かな人生を歩んでください。

結びになりますが、本日、お忙しい中、御参列いただきました皆さまのご健勝とご多幸を願いますとともに、本校へのより一層のご支援、ご鞭撻を賜りますことをお願い申し上げ、私の式辞といたします。

令和五年三月一日

    大阪府立桜塚高等学校 定時制の課程 准校長 田中 徹