8月6日と8月9日に寄せて

8月6日は広島、8月9日は長崎に原子爆弾が落とされた日だということは、みなさんもよく知っていると思います。その日から77年がたちました。

私は九州の福岡出身で、幼いころ祖父母に長崎の原爆資料館に連れて行ってもらったことがあります。まだ5,6歳だったと思うのですが今でも脳裏に焼きついているものがいくつもあります。

その一つが石段に焼き付いた人の影です。神社かどこかの石でできた階段に真っ黒い影が人の形を残したままくっきりと残っているのです。連れてきてくれた祖母になぜこうなっているのかと尋ねると「原爆で体が燃えてしまい、その時の焦げ跡だ」と聞かされました。逃げる間もなく体が焼け付くほどの、突然の激しい熱だったと教えられました。成長して被爆地近くでは3000℃を超える熱量が放たれたということを知り、その時見た人の形の影やドロドロに融けたビール瓶などの光景がよみがえってきたものです。

私が幼少期を過ごした町にも長崎で被爆した方が多くおられたので、幼いなりに原爆や被爆者を身近に感じていたものです。子供のころ原爆はそんなに遠い過去の話ではなかったのです。

しかし原爆投下から77年がたちました。現在、世界にはわかっているだけでも1万を超える核弾頭があるとされています。

そのようなものが二度とこの地上に落ちてくることがないよう・・・人がそんなに愚かでないことを願ってやみません。