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令和5年度 終業式 式辞

みなさん、おはようございます。今年度、最終日を迎えました。この1年間はどうでしたか。悔いなき日々を過ごせましたか。あの時ああすればよかったと思ったこともきっとあったことでしょう。でも過去を後悔したところで過ぎ去った時間は帰ってきません。現状に不満があるのなら、今から頑張ればいいのです。今年度はコロナウイルス感染症の影響もなくなり、ほぼ通常の学校生活を営むことができました。今年の卒業生も一生懸命な学校生活を送り、結果として大学入試も輝かしい成果を残してくれました。京都大学は7年連続合格者数トップ、東京大学も倍増し、20人の合格者を出し、トップ30に入っています。とても喜ばしいことです。では並みいる学校にまさり、なぜこのような好成績を北野は毎年、打ち出せるのでしょうか。もちろん入学してくる生徒が非常に優秀だということはあります。ただそれだけでは、ありません。私がこの学校に来て、つくづく生徒に対して感じたことが2点あります。ひとつはみなさんの集中力のすさまじさそしてもうひとつは今、過ごしているこの時間を有意義なもの、充実したものにしようという強い思いです。みなさんには自分のためだけではなく、クラスメートや学年全体、ひいては学校全体の生徒のために尽くそうという心意気をいつも感じます。卒業間際になって3年生の多くのクラスの代表者が校長室を訪れてくれました。最後のホームルームや卒業してからの集まりで、ビデオを流したい。ついては一緒に校歌を歌ってもらいたいとか一緒にピタゴラス体操を踊ってもらいたいなど種々雑多な要求をしてくるのです。私は喜んで一緒に歌い、かつ踊りました。大学入試を直前に控えた時期でも、どこかゆとりを持ち、最後の時間だからみんなを楽しませて有意義な時間にしたいとの心意気を感じました。これこそが北野の伝統でしょう。どんな時でも他人のことを慮り、みんなで楽しみ、その時間を有意義なものにしようという心が授業を大切にし、学校生活を大切にし、結果として大学入試の成果へとつながっているのです。社会に出るとそれがやがては社会貢献へとつながります。死に直面した経験のある私もみなさんが今、過ごすこの瞬間を大切にしようとする思いはよくわかります。私たちは1回きりの人生を生きていますが、ともすれば忙しさに紛れて、今を大切にして生きるとの精神を忘れてしまいます。皆さんの今を頑張って生きる姿はいつもわたしにその精神を思い出させてくれました。私もこれからも新しいことに挑戦しようと思っています。

まもなく新しい学年がスタートします。親鸞聖人は仏門に入るときにまた明日の朝、入門に来なさいと和尚から言われ「明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」という和歌を作り、今入門したいとの意思表示をしました。一瞬一瞬を大切に生きましょう。まさに「一日一生」。来年度がみなさんが満足できる1年となることを心から願って私の最後の挨拶とします。