令和5年度 後期始業式
みなさん、おはようございます。今年度も後半がスタートしました。今月末には150周年記念式典がリーガロイヤルホテルで開かれます。本校にとって節目となる時期です。また3年生にとっても高校生活の集大成となる大切な時期です。振り返ってみれば3年生とは時を同じくして北野高校にやってきました。当時私は心筋梗塞を患い生死をさまよってから、まだ1か月の頃でしたから余計に強い思い入れがあります。是非ともみなさんそれぞれの思いが叶うことを心から願っています。
さて本日はこの後、GL10校の合同研修としてサンフランシスコ研修に行ってくれた1,2年生の3名の生徒が報告を行ってくれます。海外に行ったことが考え方の大きな転機となったと聞いています。どのような経験を積んだのか、その報告がとても楽しみです。私もこの夏にバンコクに行きました。8年ぶりでしたがその変貌には大変驚きました。町は近代化され、人々はかつての日本のような活気に満ち溢れていました。日本の世界における相対的地位の低下を実感しました。現在の国際社会は混とんとしており、そのパワーバランスは刻一刻と変化し、合従連衡が渦巻く、とても複雑な様相を呈しています。独裁者のもとで満足な情報もなく、圧政を強いられている国民もいます。NHKのEテレで月曜日に放映されている100分で名著という番組があります。世界の名著を4週を1クールとして紹介する番組です。ずいぶん依然ですが、その番組でジーン・シャープという作家の「独裁体制から民主主義へ」という本が紹介されていました。権力に対抗するための教科書と評されている本です。その中でシャープはなぜ非暴力闘争に関心をもったのかという問いに対して次のように応えています。「世界には独裁に苦しんでいる人が多数いる。その人々をどうにかしなければならないと思った。私は自分が人生を終えるときには世界が少しでも良くなっていてほしいと願っている。それはあらゆる人間の責任だとも思っている。独裁政権にも弱点はある。それを見極めることだ。」とのことでした。逃げ場のない独裁政権であっても、実はそれは民衆の支持によって成立している。だから民衆が非暴力で独裁者の弱点を見極め、頑固に賢く粘り強く鍛錬された方法で抵抗すれば追い詰めていけるというのです。この方法論は動かしがたく見える社会システムを変えるためにも有効な方法です。様相は異なりますが皆さんは自分たちの粘り強い努力と英知で本校の制服の変更を達成しました。社会は変えられるという実証です。その力を将来、権謀術数が渦巻く現代の世界において、いかんなく発揮してください。他の人を慮り、社会のあり様に正しい判断ができる人間になってください。何度失敗してもくじけず立ち上がってください。後期の始業式に際して「百折不撓」という言葉を皆さんに送って私のあいさつとします。