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令和4年度 終業式 式辞

みなさん、おはようございます。今年度の最後の全校集会となりました。この1年間を振り返って皆さんは自分にとって、納得のできる1年でしたか。不十分であると思っている人は4月以降の奮闘を祈っています。

私は皆さんの前で話すときにはいつも一定のテーマをもって臨もうと考えています。私にとって全校集会は先生方にとっての授業と同じです。1年間の全校集会を振り返るといつも、もっと、あんなふうに話せばよかったと後悔しきりです。

さて今日のテーマは「なぜ、制服を変更するのか。」です。去年の10月以降、生徒会の諸君や教職員が中心となり、制服を変更しようという機運が醸成されています。150年の歴史がある本校にとって、伝統ある制服を変更するというのはとても大きなことです。

私は世の中に生じる課題は大きく分けて2つの類型に分かれると考えています。一つは多数決によって決めることができるもの。卑近なところでいえば、遠足の行き場所を決める。大きなところでは国家予算等を国会で審議し、決めることなどです。そして、もう一つの類型は多数決にはなじまないもの。例えば人権に関することです。誰もが侵すことのできない基本的人権をもち、また誰にも幸せを求める権利があります。このような権利はどれだけ多数の人が反対しようとも絶対的に保障されなければならない権利です。制服の問題も同じ観点から見ることができます。生まれついての性別に違和感がある人が一方の性別の象徴である制服を着ることを強制されるとすれば、毎日の苦痛は計り知れないものがあります。毎日毎日、制服を着るときに苦痛を感じるのです。ただし、制服の変更はその人たちのためだけに行うのではありません。授業のユニバーサルデザインという考えがあります。何らかの障がいがあり、板書などが整理整頓できていなければ、授業に集中できない人がいます。そういう人に対しては黒板に本日の学習順序や板書をきれいに区分けして書くことによって学習の困難さを克服することができます。板書をきれいに書くことは誰にとってもわかりやすさにつながります。これが授業のユニバーサルデザインの考え方です。すなわち、少数者への配慮は実はみんなの利益につながるのです。制服変更も同じことです。一人ひとりを大切にする学校は実は誰にとっても過ごしやすい学校なのです。新しい制服は皆さんの意見も参考にしながら誰にとっても着心地の良いものをめざそうと思います。北野高校はこれからも生徒一人ひとりを大切にしながら、学校としての一体感も大事にしていきます。

 さて本日の終わりにあたって今年度嬉しかったもう一つのエピソードを紹介して結びとします。2月の初旬にGL10校の課題研究の発表会がありました。本校からは哲学史に関する発表がありました。5分で哲学史を概観し、それを踏まえて哲学の未来を予測するという非常にレベルの高いものでした。残念ながら受賞することはできませんでしたが私は個人としては知的水準の高い優れたものであると高く評価しました。そしてとても好ましく思ったのは後半、司会を担当していた本校の生徒が端的に素晴らしい全体講評をした場面です。GL10校の生徒の力の限りを尽くした素晴らしい努力に対してある四字熟語を使ってほめたたえていました。私も本日の締めの言葉として皆さんにその言葉を贈ります。来年度も『精励恪勤』であれ。