フェノールフタレインはなぜ赤くなる?

みなさんはフェノールフタレインという薬品を知っていますか?これは化学の「酸・塩基」で出てくる指示薬と呼ばれるものです。はじめは無色ですが塩基性ならば赤紫色に変色する性質を持っています。

なぜ、私がこの話を持ち出したかというと、このことが私が理科(化学)の教師を志したきっかけになったからです。

高校生の時、中和滴定という実験を行うことになりました。実験書に書かれている通りの手順で進め、授業は何事もなく終わったのですが、私にはどうしても気になることがありました。それは、フェノールフタレインはなぜ塩基性下で赤く変色するのかということです。しかし、そんなことを気にする友人は誰もいませんでした。しかし、どうしても気になった私はその日の放課後、担当の先生を訪ね質問してみました。先生は驚かれ「そんな質問しに来る奴ははじめてや」と言われ、一瞬、来るんじゃなかったと思ったのですが、先生はすぐに「実は僕もはっきり知らんねん。一緒に調べてくれるか?」と言われたのです。ずーっと後になってその言葉は嘘だったことがわかるのですが・・・

当時はインターネットなどない時代、調べるには化学の専門書を調べるしかありませんでした。夏の夕方に先生と一緒に学校にある専門書を片っ端から調べたのを覚えています。

幸い答えを見つけることができましたが、その時先生が「わかってよかったわ。今度授業でほかの生徒に自慢げに言うから田中は黙っといてな」と言われたことをよく覚えています。

私が理科(化学)の先生を志したのは、この高校時代の先生とこの日の数時間があったからです。