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始業式 式辞

皆さん、おはようございます。この四月に本校に着任しました校長の天野誠です。全校生徒の皆さんに会える日を心待ちにしていました。というのも私が皆さんに直接お話しできる時間は限られています。先生方は授業を通じて自分の考えを伝えることができますが私はそうではありません。着任してから先生方には「なるほど」と皆さんが実感できる授業をしてほしいとお願いしました。わたしにとってはこの時間が先生方の授業に匹敵するものと考えています。どうぞ、この一年間、皆さんの心に届く話を心がけますのでよろしくお願いします。そこで今日の話ですが、一年生には入学式の式辞の中で紹介したことであり、重複することもあるのですが、2・3年生のみなさんにもぜひ聞いてもらいたいことがあります。私事ですが、2月に心筋梗塞を発症し、救急搬送され、緊急で手術を行いました。3本の冠動脈のうち、1本が詰まったのです。そのまま放置していれば週末には死んでいたと、医師から告げられました。まさに人生は何事も起こりうるということを実感しました。ただ、この出来事以降、私が目にする景色は一変しました。桜の花を見ると、あの時死んでいれば、眼前に咲くこのピンクの桜をみる事ができなかったと思うようになり、今、目の前に皆さんの姿を見ると、この北野高校で皆さんの姿をみる事も出来なかったと思うようになったのです。いつも発症した2月12日以降に起こったことを知ることはできなかったと思うようになりました。我々は一瞬一瞬を生きています。その一瞬一瞬を二度と帰らぬものとして楽しむのだ、充実させるのだと今は感じています。さて2・3年生の皆さんの中には、成績が伸び悩んだり、何事もうまくいかず、悩んでいる人もかなりいると思います。大いに悩んでください。北野高校は日本一の学校です。とても優秀な生徒ばかりが集まっています。成績が伸び悩んであたりまえ、自分と他の人を比較して劣等感を味わうのも当然。悩みや苦しみは皆さんを大きく成長させます。人の心のわかる人間へと成長させます。混とんとした世界は皆さんのような、人の心がわかる、若々しい英知を必要としています。努力し、今を充実させてください。では今日の話の最後に私の好きな四字熟語を皆さんに送ります。分厚い雲のかなたには青空が待っています。「雲外蒼天」

令和3年 4月 8日

大阪府立北野高等学校

校 長 天野 誠