本日、令和5年度入学式を行いました。
定時制ですので、もちろん入学式も夜です。
桜塚高校・全日制の入学式が終わった体育館で、定時制入学式のために座席レイアウトを変更して
18時から夜桜の入学式を行いました。
以下、准校長の式辞です。新入生のみなさん、4年間夜桜で頑張りましょう。
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【式辞】
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
ご参列の保護者の皆さま、お子さまのご入学を心よりお喜び申しあげます。
大阪府立桜塚高等学校・定時制の課程はここにおられる39名のみなさんのご入学を心より歓迎いたします。ようこそ「夜桜」へ。
私もこの4月に夜桜に着任し、皆さんと同じ1年生です。毎年、入学式の時期には「桜塚」の校名通り、美しい満開の桜が皆さんをお迎えするそうですが、今年の桜は少し気が早く、満開の時期は少し過ぎてしまいました。
さて、定時制である本校では、様々な事情を抱えながら通学している生徒が多くいます。一般にイメージされる高等学校とは異なり、幅広い年齢や様々なルーツ、すでに職業を持っている人もいます。
高等学校でありながら、一歩も二歩も実際の社会に近い、様々な学びのある場であると思います。
制服も無ければ、学校独自の厳しい校則、実は先生自身もなぜ禁止しているのか説明できないようなルールもありません。その代わり、実際の社会で求められる規範やふるまいを求められると考えてください。
さて、みなさんには、この夜桜で過ごす4年間で、常に意識してほしいことを3つお話しします。
1つめは、自分の感情に敏感であり続けてください。
自分の感情、喜怒哀楽のうち、「喜(き)・喜び」と「楽(らく)・楽しさ」を感じて、それを表現すると、周囲の人にも伝染し、幸せな雰囲気になります。一方、「怒(ど)・怒り」と「哀(あい)・哀しみ」は年齢を重ねるにつれて、我慢を強いられ、怒りも哀しみも表現しないことが大人とされることがあります。
しかし、世の中のおかしなこと、自分の周囲で起こる理不尽なことを見て見ぬ振りをしたり、あえて感じないようにする、言い換えれば、怒りや哀しみに鈍感になることは自分の「弱さ」を忘れることかもしれません。反面、弱さを忘れると人への優しさも同時に失ってしまいます。
無意識のうちに心無い言動をして、誰かを傷つけてしまうかもしれません。怒りや哀しみに鈍感になることは、一時的には自分を守れるかもしませんが、他の人を守れなくなります。
ぜひ、自分の感情に敏感であり続けてください。
2つめは、おおいに失敗をしてください。
今の世の中、小さな頃からできるだけ失敗をしないように、怒られないように、という風潮があります。もちろん自分だけではどうしようもないような失敗は単に傷つくだけですから、避けたいところですが、失敗を恐れて何も挑戦しない、新しい一歩どころか、半歩も前へ進めないということでは面白くありません。
ほんの少しの思い切り、それがコンビニで選ぶおにぎりの具でも構いません。失敗して当たり前、うまくいけばラッキーという思いでいれば、新しいことにも挑戦しやすくなります。
さきほど、夜桜は実際の社会に近い環境と言いましたが、それでも、学校という枠の中で、年齢は違えど同級生に囲まれ、みなさんをバックアップする先生がいますから、安心して挑戦して、安心して失敗してください。
ぜひ、自分の失敗を恥じず、他人の失敗をなじらないようにしてください。
3つめ。自分で考え、行動する習慣をつけてください。
勉強だけでなく、スポーツや芸術・文化、どんな分野にも基礎・基本というものがあります。私は、もともとは美術科の教員ですので、美術を例にお話しします。美術の世界では「デッサン」が基礎トレーニングのひとつです。デッサンは単純に絵を上達させるためだけにするのではありません。目の前には自分が画面上に表現すべき答えそのものがあり、そのモチーフと向き合って、自分の都合の良い部分も都合の悪い分もすべてをよく観察します。自分の中でとらえて、情報を正しく整理して、正確に画面に描写していかねばなりません。
同じものを描いても、上手(じょうず)下手(へた)の差が出るのは、画面に描く力・アウトプットよりも、モチーフを正しくとらえる力・インプットに大きな差があることが原因です。
現在の私たちが1日に受け取る情報量は、平安時代の一生分、江戸時代の1年分とも言われています。その全体像すら想像できないくらいに膨大な情報のシャワーを浴び続ける現代において、皆さんは自分に都合の良い情報だけを選ぶのではなく、あふれる情報に翻弄されるのでもなく、自分で正しく判断し、正しく行動できる力を身につけてください。
有名なアニメ主題歌の歌詞に「いつか描いた未来がボクのポケットにあるから」という一節があります。皆さんのポケットに「未来」は入っていますか?「未来」を「夢」と置き換えてもいいでしょう、
より具体的に「成し遂げたいこと」と捉えてもいいでしょう。思い描いた未来を実現するためには、時々「線路の乗り換え」が必要です。
家族や周囲のサポートを受けて走ってきたこれまでの線路と、これから始まる夜桜での高校生活や、目指す進路へとつながる線路。まだ確たる夢や目標がなくてもかまいません。しかし、今までの延長でなんとなく辿り着く未来と、未来の在りたい姿を意識して前に進むことはまるで違います。
この夜桜を選んだことが、皆さんにとっての線路の乗り換えだったのではと思います。自分の判断は正しかったのだろうか、と不安になることもあるでしょう。でも、これからは「自分の判断は正しかった」と思えるように日々を積み重ねていってください。
桜塚高校定時制の課程では、皆さんに夢を与えるのではなく、夢や目標を実現させるための力を与えられるよう、教職員一同が全力で皆さんをサポート・バックアップします。
保護者の皆様も、ご協力よろしくお願いいたします。
夜桜での4年間が皆さんそれぞれに、カラフルな時間であることを願っています。
令和5年4月7日
大阪府立桜塚高等学校 定時制の課程
准校長 今西 良介