この４月１日に第７代の准校長として着任いたしました 田中 徹 と申します。
よろしくお願いいたします。
さて、大阪府では４月７日にコロナ感染症による医療非常事態宣言が出され、緊張感のある毎日が続いていますが、本校では４月８日に令和３年度の入学式と引き続い始業式が行われました。
学校に生徒たちを迎えるのはやはり喜ばしいものです。これから始まる新年度に向けて決意も新たにしていることでしょう。皆さんの活躍に期待しています。
以下に本日の入学式での式辞を載せておりますので、私が生徒の皆さんに伝えたかった事を感じてもらえたらうれしく思います。
新入生の皆さん ご入学おめでとうございます。 大阪府立桜塚高等学校 定時制の課程は ここにおられる４９名の皆さんのご入学を心より歓迎いたします。 ご参列の保護者の皆さま、ご入学おめでとうございます。今は、新入生と同じく期待に満ちた思いでこの場におられることと存じます。
さて、入学式にあたり、私から皆さんにお伝えしておきたい３つのことをお話しします。 まず、みなさんは自らの意志で本校を受験し、ご入学されたものと思います。私はその「自らの意志」を大切にしてほしいと思います。自分で考え、自分で決定し、そして行動する このことはこれからの時代を生き抜く上で、絶対に必要な力となるからです。
皆さんは「ＶＵＣＡの時代」という言葉をご存じでしょうか。 この言葉は２０１６年の世界経済フォーラムで使われた言葉です。これからの時代は「取り巻く社会環境の複雑性が増し次々と想定外の出来事が起こり、将来の予測が困難な時代」という意味です。わかりやすい言葉に置き換えると「何もかもが不安定で未来を想像することすらできない時代」ということになります。
私たちも経験したことのない世界を皆さんはどう生きていきますか。そもそも答えがないので何が正解か、何が最適なのかがわからないのです。だから、正しい選択を求めると行き詰ります。皆さんは是非、その時々の状況に応じ、自分としっかり向き合い、いま、何をすればよいのか自分に問いかけながら行動してください。間違ったと感じたら、すぐに改めればいいのです。
皆さんにはまだ見えない可能性と自分で切り開いてゆける未来があります。本校での４年間の学びは決して生やさしいものではないかもしれません。しかし、今ここで私が話したことを胸にとどめ卒業までしっかり持ち続けてほしいと願っています。
２つめは、「学ぶ」ことについてです。「学ぶ」という言葉は 先生の教えや行動をまねることが語源とされています。先生からの指導を受け、新しい知識を得たり、何かができるようになることは、とても素晴らしいことです。さっきまで知らなかったことを知る、昨日までできなかったことができるようになる。まさに成長そのものではないでしょうか。
人は生まれながらに好奇心に満ちた生き物です。これは人類が進化の過程で獲得した素晴らしい能力なのです。古代から新しいものを知ること、その情報に敏感になることは外敵から身を守り食料を確保するために欠かせなかった能力でした。だから人の脳は新しいことを学ぶとドーパミンという幸せホルモンを分泌するように何万年もかけて進化してきたのです。
新しい情報を得ることで幸せを感じる。学ぶことは楽しいことなのです。例えば勉強が苦手だとしても、それはできない、わからないということにストレスを感じていて苦しいのであって、新しいことに触れているとき脳は幸せを感じています。できなかったことができるようになる。わからなかったことが分かるようになる。そうすればドーパミンは更に多く分泌され幸福感を与えてくれます。
毎日学校に来て過ごす時間を幸せな時間にしませんか、たとえひとつだけでも毎日何かを学ぶことができれば、確実に今より成長した自分になれます。そうして成長を積み重ねていけば、それは必ず自信や勇気につながり、自分らしく人生を生き抜くことができます。高校卒業の資格を取るために入学したという方も多いと思いますが、これから始まる高校生活を資格を取るためだけの時間で費やすのは勿体ないと思いませんか。学ぶという幸せな時間を一緒に過ごしましょう。
最後に皆さんに私の大切にしている言葉を贈って結びといたします。
「天与の花を咲かす喜び、ともに咲く喜び、人見るもよし、人見ざるもよし われは咲くなり」
これは作家の 武者小路実篤 の言葉です。 「人にはひとりひとりが生まれながらに持っている花を咲かす喜びがあり、友人とともに咲く喜びもある。人が見ていても見てなくても関係ない。私は私の花を咲かせるだけだ」といった意味です。
桜の名を冠するこの学び舎で、みなさんの持っているいろいろな花を精一杯咲かせてください。期待しています。
令和３年４月８日 大阪府立桜塚高等学校 定時制の課程
准校長 田中 徹