全国生徒生活体験発表大会について

 昨年の11月17日(日)、全国高等学校定時制通信制生徒生活発表大会が東京の六本木ヒルズで開催されました。本校2年生の毛(まお)さんが、大阪府を代表してその大会に出場され、見事「読売新聞社賞」と「奨励賞」を獲得されました。本人の了解を得て、写真と原稿を掲載させていただきました。皆さん、ぜひお読みください。(当日は、下記の原稿を暗唱されて発表しておられたそうです。すごいですね。)

 「私の高校生活」

     大阪府立三国丘高等学校 2年

               毛 云紅

      パート(製造職) 48歳

 私は中国に生まれ育ちました。周りは森林に囲まれ、中学校を卒業することなく、林業関係の仕事に就きました。社会人になってから、知識がもっと必要なことがわかってきました。また、母になり、子どもへの補習が必要だと感じましたが、思うように教えることができず、悔しくて、仕方がありませんでした。

 そんな中、私の夫の父が日本人残留孤児だったこともあり、2001年11月に家族で日本に来ました。2013年8月に堺市の広報に載っていた、外国人、中高年も入学することが出来る学校の記事を見つけ、殿馬場中学校夜間学級に入学し、五年が経った頃には日本語が話せるようになりました。ある日、担任の先生から進学することを薦められ、定時制高校の存在を知り、これは神様がくれたチャンスだと思いました。なぜなら、中国には定時制高校がなく、大人になってから高校に通えるとは思ってもいなかったからです。この機会を逃さないで勉強を頑張ろうと思い、私は昨年の4月に、三国丘高校の定時制課程に入学しました。入学してからこれまでの間に、たくさんのことを経験しました。たとえば、文化祭。私たちのクラスは団結して、全力で焼き鳥を焼いて売りました。今年も頑張りたいと思います。また、体育の授業は大好きなのですが、若い生徒と一緒に体育をするとうまくいかないのが現在の悩みです。夜間中学校の時の体育の授業は、年齢層がとても高かったのですが、皆で仲良く授業を受けていました。年齢の違いに配慮しつつ、仲良く体育ができるように、若い生徒の見本となっていきたいです。 

 現在、私の仕事は17時までです。学校に遅刻しないように、30分駅まで走っています。また、1日の睡眠時間は6時間未満で、しんどい時は学校を辞めることを考えたりもしました。しかし、若い生徒が頑張っている姿を見て、自分も頑張るしかないと支えられています。また、校長先生をはじめ学校の先生たちは、毎日校門で生徒たちを迎えたり、見送ったりしてくれています。そんな先生たちと触れ合ってきて、先生は優しいと思いました。そう思ったきっかけは、同級生の男の子が、いつも20分休憩の時間に、数学の先生や英語の先生に中学校の教科書の内容を丁寧に教えてもらっていたからです。また、生徒の人数が少ないからか、一人ひとり生徒のことを先生はしっかり把握しています。もし、悩みがあって相談室に行けば、何でも解決してくれると思うし、進学するときは、全力で助けてくれるでしょう。ゆっくりと話をしてくれたり、漢字の読み方を全部書いてくれたりして、授業の内容もわかりやすいです。

 今、48歳の私は、人生の夢を実現させようとしています。2017年に日本語能力検定の三級を取りました。今年の7月に二2級を受けました。その時期、ちょうど高校の前期期末考査の時で、検定の勉強と重なったため、私は一週間に2kgも痩せました。大変ですが、がんばりました。来年の12月に、一級に合格することをめざしています。

 本当は、定時制高校を卒業したら、大学に行きたいと思っていましたが、息子が大学院に入り来年には留学したいと言っています。私は母として、子どもの夢を優先させたいと思い、自身の大学に行く夢をあきらめました。でも、ボランティア活動など中国と日本を結ぶ為の架け橋になる夢はあきらめていません。人生で一番楽しいことは学ぶことです。学校が大好きです。定時制高校に入ってから、SMAPの「世界に一つだけの花」の歌を思い出します。定時制高校は、世界中で日本にしかない学校です。そんな学校と出会えたおかげで、私はまた学校に通い、学び、そして勇気を持って、夢を追いかけることができるようになりました。ご清聴ありがとうございました。