1年はあっと言う間、つい先日入学式だったかと思えば、もう卒業式です。
振り返るとあっという間でも、じっくりを考えてみると、あんなことも、こんなことも、いろいろあったなぁとしみじみするものですね。
以下、卒業式の准校長式辞です。
======================================================
4年生15名、3年生4名、合わせて19名の皆さん、卒業おめでとうございます。
夜桜の教職員を代表して、心から祝福の意を表します。
夜桜での高校生活だけでなく、夜桜に入学する前に経験したことを思い出してみてください。嬉しかったこと、悲しかったこと、恥ずかしかったこと、たくさんの感情があると思いますが、人生とは不思議なもので、「あんまりいいことないな」と思っていたことも、何かのきっかけで、オセロのように過去に対する捉え方がクルっとひっくり返ることがあります。皆さんはこれまでに、そんなオセロがひっくり返ったという感触を覚えたことはないでしょうか。
これを「人生の転機」と言い換えることもできます。人生の転機とは一般的には、中学校や高校の入学や、卒業後の就職先、大切な人との出会いや別れを指します。しかし、私自身の経験や、私がかつて教えてきた生徒たちを見ていると、人生の転機とは、実は日常の何気ないシーンに隠れていたり、毎日の繰り返しの中で、ある時ふと自分自身の中で物事の捉え方が変わった瞬間こそが、人生の転機になっているのではないかと感じます。例えば、夜桜に入学した時よりも、入学してから恥ずかしいけどクラスメイトに声をかけようと思ったその瞬間や、クラスメイトと目が合って思わず笑ってしまった瞬間。アルバイトを始めようと面接を受けた時よりも、お客さんからありがとうと言われた瞬間。自分の心がググっと動いたその瞬間が人生の転機であり、オセロがひっくり返った瞬間なのかもしれません。
集会などで、何度か皆さんに投げかけたメッセージとして「自分の選択を正解にする」という言葉があります。覚えてくれていますか? 夜桜に入学したことは自分にとって正しかったのだろうか。その答えは誰も教えてくれません。自分自身でそれが正しかったと思えるように行動していたかどうか、それが答えです。そして、これからそれぞれに新しい道に進んでいきますが、その進む道が正しいのか、それは誰にも分かりません。大切なことは、正しい道を選択する以上に、自分の進んだ道が正しかったと思えるように行動することです。卒業生のみなさんは、その行動する力をこの夜桜で身につけてきたはずです。
卒業生のみなさん、「無知の知」という言葉を聞いたことはありますか? 古代ギリシアの哲学者ソクラテスの有名な言葉です。「無知の知」とは「自分が何も知らないという事実を自覚していること」です。スマホがあれば何でも調べられる、AIを使えば何でも相談に乗ってくれる便利すぎる世の中です。でも私たちが使うSNSは自分の好みのおすすめ情報、言い換えれば「都合の良い情報」しか表示しなくなり、自覚がないままに偏った情報だけで、自分は何でも知っていると勘違いしてしまう危険性があります。「無知の知」、改めて自分にはまだまだ知らないことがたくさんあるということを自覚し、自分にとって都合の良いことも、都合の悪いことも等しく情報を得て、正しく判断し、正しく行動できる人になってください。知らないことがたくさんあるから、私たちはこれからも学ばねばならない。ぜひこれからも学び続けてくださいね。
改めて、卒業おめでとう!
令和8年3月2日
大阪府立桜塚高等学校 定時制の課程 准校長 今西 良介
