ずいぶん昔のことですが、国語の教科書に「ちょっと立ち止まって」という文章がありました。挿絵には「ルビンの壺」という有名な、壺の絵に見えるし、人間が向かい合っている絵にも見えるという絵が使われていました。エッセイのような文章でしたが、物事を考えるうえで、一面だけでものを見てはいけませんよ、という意味合いの内容でした。ルビンの壺のように、壺にも人間の顔にも見えるという二面性の絵ということは、壺の絵だと思い込んでしまうのではなく、ちょっと立ち止まって他の見え方がしないのかということを見直してみましょう、ということです。
一面的な考え方というのは、やはり怖いものです。世の中には、一面的ではおさまらないことの方が多いです。デジタル思考といいますが、「0」か「1」かという考え方ではおさまりません。「0.5」や「0.2」や、場合によっては「0.111」なんていう場合もあります。ひとつの事柄を、一つの考え方だけで見てしまうのではなく、いろんな方面から物事をみることができれば、そして、いろんな方面からみることによって、物事の本質がわかってくることもあります。そして、一元的に決めてしまうのではなく、いろんな考え方があるということを受け止めましょう。
ネットの世界では、本当にそれがあふれています。この人は悪人だと決めつけても、違う面からみると、実は善行をしていたとか。すごいいい人だと思っていたら、とんでもないことをしていたとか。
何が真実かはわかりません。でも、人や世の中の意見に流されることなく、自分で考えましょう。そして、その自分で考えるために、学ぶことが必要です。