小学部の教育

教育目標と方策

【育てたい児童像】

心と体を動かしながら、

好きなこと、楽しいこと、解決したいこと、目標や夢を見つけ、

基礎的な力をもとに、皆と育ち合える児童を育成していく

【教育目標】

〇豊かな心と健やかな体を育成する

見る・触る楽しさ、五感を活用して外界へ働きかける力、自己理解・自己肯定感、挑戦する心、最後までやり通す心、目標に向かって努力する力、自ら考え試行錯誤し選ぶ力、見通しをもって主体的に過ごせる力、楽しく体を動かす力、など

〇人や物とつながる力を育成する

体験を通した生きた言葉の獲得、自分の思いや援助依頼を自分なりの方法で伝える力、発表したり説明したりする力、他者と協力し信頼関係を築く力、他者を思いやる心、友だちと関わり切磋琢磨して成長し合う力、自分の気持ちのコントロール、自分を律し社会のルールを守る力、など

〇基礎的基本的な知識・技能とそれを活用する力を育成する

基本的な生活習慣、身辺自立の力、認知力・学力、点字や普通文字を読み書きする力、視覚補助具や情報機器の活用、など

【支援方法】

・学習指導要領に準じて個別のカリキュラムを作成し、個別、一斉、学級別、習熟度別、課題別グループ等の指導制を工夫する。

・食育指導を計画的に推進し、望ましい食習慣の基礎をつくる。

・学校における体力の向上を推進し、体育授業の充実を図る。

・家庭と連携し、基本的生活習慣や家庭学習習慣の定着を図る。

・体験活動を充実させ、言語能力を高める。

・学校の教育活動全般を通して道徳教育を充実させる。

・児童同士の関わりや話し合いの中で、思いやりの心や自制心、育ち合う力を育成し、児童会活動を充実させる。

・交流および共同学習に積極的に取り組む。

・進路を見据えたキャリア教育を推進する。

・自立活動の時間や学校の教育活動全般を通し、視覚障がいの状態に対応した学習方法の習得をはかり、視覚支援教育の専門性を組織として展開する。

・個々の見え方に応じた教材・教具を活用し、学習内容がより理解しやすい環境をつくる。

【教育課程】

<標準的な時数>

学年 123456
教科
国語 8 8 7 7 5 5
社会 - - 2 2.5 3 3
算数 4 5 5 5 5 5
理科 - - 2.5 3 3 3
生活 3 3 - - - -
音楽 2 2 2 2 1.5 1.5
図工 2 2 1.5 1.5 1.5 1.5
家庭科 - - - - 1.5 1.5
体育 3 3 3 3 2.5 2.5
合科的・関連的な指導 - - - - - -
道徳 1 1 1 1 1 1
外国語(外国語活動) - - 1 1 2 2
総合的な学習の時間 - - 1 1 1 1
自立活動 1 1 1 1 1 1
特別活動 1 1 1 1 1 1
領域教科を合わせた指導 - - - - - -
合計 25 26 28 29 29 29

※個々の実態に応じた教育課程で取り組んでいます。

年間行事予定

 1学期

4月

入学式・始業式・点字テスト・お話会・新入生を祝う会

5月

1年生とあそぼう会・点字テスト・お話会・スポーツフェスティバル

6月

水泳指導開始・点字テスト・さわる絵本の会

7月

点字テスト・終業式・登校日

8月

登校日

 2学期

9月

始業式・点字テスト・お話会・秋の遠足

10月

点字テスト・山之内フェスティバル・お話会・いもほり・文化祭

11月

修学旅行(5、6年)・珠算検定・点字テスト・お話会

府立大阪北視覚支援学校との交流(4~6年)

12月

作文発表会・点字テスト・さわる絵本の会・終業式

 3学期

1月

始業式・作品展・点字テスト・お話会

2月

新1年生との交流会・チャレンジ大会・さわる絵本の会・作文発表会・点字テスト     

3月

6年生を送る会・点字テスト・卒業式・卒業生を祝う会・修了式

※この他に学年の校外学習や社会見学があります。

学習の様子

点字学習

点字の教科書を指先で読んでいる

点字は、両手の指先で、左から右に読みます。点字の教科書で、小学校の教科書と同じ内容のものを学習します。

点字盤は点字を裏から書きます。点筆を握って、右から左へ一点一点書きます。点字盤はどこへも持っていけるので、とっても便利な筆記用具です。使い慣れると、簡単な図形や模様が書けるようになります。

点字盤を使って点字を書いている
キーパンスを使って点字を書いている

アメリカ製のパーキンス・ブレーラーで、文章を書きます。ガチャガチャ・チーンと軽やかな音をさせながら書いていきます。点字盤と違って、レバーを一度に押して、一つの文字を書きます。

月一回、点字テストがあります。めがき、五十音、聴写、転写、読みのテストがあります。これは競争ではなく、自分がどれだけ点字を上手に書いたり読んだりできるようになったか確認するものです。どの学年も毎日宿題で練習してきます。

計算

そろばんを使って計算している

計算は筆算の代わりに、そろばんで計算します。盲人用のそろばんは両手で、足し算・引き算・掛け算・割り算はもちろん小数や分数の計算もします。年1回、日本商工会議所主催の視覚障がい者珠算検定を受検します。また、全国盲学校珠算競技大会にも参加し、ここ数年、上位成績を収めています。

作図

盲人用作図用具を使って作図します。作図には三角定規、ぶん回し、分度器、針数本、シリコン・ラバー、発砲スチロール、作図用紙、ボールペン塔があります。

ぶん回しで円を描いている 三角定規で長方形を描いている

地図を読む

立体的な日本地図に触っている

山・平野・川・交通・都市などに分かれて表わされている模型や地図帳を触って学習しています。

実験観察

見て学習するところを、手で触り、音を聞き、匂いを嗅いで、学習します。一つのものを触って、形や大きさ、硬さなどを知って、物をイメージしていきます。そのためには、時間をかけてじっくり観察します。

かぼちゃを触っている なすびを触っている
試験管に入っている液体の明るさを感光器で調べている

明るさを音で知らせる感光器を使って学習しています。(日向と日陰の観察、太陽の動きの監察、化学実験の変化の様子を自分で確かめながら実験する等)

字や図を大きくして学習する

弱視の児童は教科書を読む時、レンズや拡大読書器を使って学習します。また、黒板の図や文字を書写する時、単眼鏡を使っています。

 自立活動

 自立活動では、それぞれの児童のニーズに合わせて、歩行やパソコン、手指の巧緻性の向上など様々な学習活動を行います。

 歩行では、校内の歩行において、音源に向かっての歩行、壁伝いでの歩行訓練を行います。壁につけられたそれぞれの教室や分岐点の目印を探しながら目的地を目指します。また、校外では、白杖を用いた歩行を行います。一人ずつゴール(目的地)を設定し、単独歩行を目標に取り組んでいます。その中でも学校から自宅までのルート設定が多くなっています。

 手指の巧緻性の向上では、ふたの開け閉め、ねじ回し、ビーズ通し、弁別学習などを行っています。これらの活動をとおして、空間認知、物の関係性、言葉の意味など様々な概念も身につけていきます。そして、後の点字学習につなげていきます。