毎年日本漢字能力検定協会が主催して、漢字に親しむという意味合いを込めて、この一年の世相を表す漢字を一字を全国から募集しています。その第一位は、清水寺で披露されます。さて、令和7年の漢字は「熊」です。世相を表す中で、毎年、どちらかといえば、マイナス的なイメージで選ばれていることが多いのですが、今年は全国的に熊による被害が多いことから熊となったようです。また、「熊猫」(パンダ)が、和歌山のアドベンチャーワールドから中国へ返還されたという意味もあるそうです。
さて、熊ほど、現実とフィクションの世界が乖離している動物はいないでしょう。テディベアやくまのぷーさんに代表されるように、熊のぬいぐるみやキャラクターは、かわいらしいものとして扱われています。これは、欧米でも日本でも同じです。絵本や物語に出てくる熊は、かわいい存在として描かれます。テディベアも、かわいい熊さんとして売られて、かわいいといって買って、部屋に飾ったり、一緒に寝たりしています。ずいぶん昔に、ヨーロッパだったと思いますが、熊はかわいい存在だと思い込んでいた子どもが、本物の熊に近づいて傷つけられたという事件があったそうです。そこから熊は怖いものだと学ばせないといけないという声があがったそうです。日本でも、熊による被害は、古くは北海道の開拓時代に、「三毛別熊事件」として語り継がれています。また、福岡大学ワンダーフォーゲル部ヒグマ事件を始め、いろんな熊による被害が挙げられています。どれもが凄惨な事件です。
特に山の中で狩りをする人たちを「マタギ」と呼びます。熊以外にも狩りをすると言われていますが、熊を狩ることができる「マタギ」は、専門でないと狩ることができないそうです。 簡単に警察や自衛隊が銃をもっていけばいいという論調がありましたが、熊の特性や習性を把握しておかないと、自分たちも襲われてしまうそうです。例えば、子熊がいれば、必ず母熊がいるのに、子熊ばかりに集中していると、後ろから母熊に襲われることは、マタギでもあったそうです。だからマタギは、チームで狩りをしていたそうです。
熊に襲われたら、ひとたまりもありません。それほど今年は印象に残った獣害だったのでしょう。