◆2019年度後期教育ボランティア和歌山大学 教育学部英語専攻 3回生 O.S.さん(男子)の振り返り
(本校へは11月より2月まで、ボランティアに来てくれています。毎回、一所懸命活動し、自分なりのレポートを自主的に作成してくれています。取り組む姿勢が素晴らしいので紹介させていただきたいと思います。)
1.ボランティア日程と内容の状況
回 |
実施日 |
場所 |
内容 |
1 |
11月21日(木) 〔14:30~17:30頃〕 |
イングリッシュルーム→図書館 |
コミュニケーション等 |
2 |
11月28日(木) 〔14:30~17:30頃〕 |
イングリッシュルーム |
コミュニケーション、英語会話 |
3 |
12月5日(木) 〔14:30~17:30頃〕 |
図書館 |
定期テストの勉強を教える。 |
4 |
12月12日(木) 〔14:30~17:30頃〕 |
図書館 |
コミュニケーション等 |
5 |
1月 9日(木) 〔14:30~17:30頃〕 |
図書館 |
コミュニケーション等 |
2.学んだこととこれからの展望
○1回目、2回目を振り返って(11/21,11/28)
私がこのボランティア活動を始めてから学んだことは積極性を持つことである。イングリッシュルームに配属されたのだが、恥ずかしさが勝ってしまい、教室の前を通る生徒たちにあいさつした後、イングリッシュルームに誘うことがあまりできなかった。教育実習でも感じたことだが、生徒にはある程度線を引いて関わっていかなければならない、という意識が働くので、そことの折り合いをつけていかなければならないな、と感じた。
特に、初日は誰もイングリッシュルームに呼ぶことができなかった。なおさらに私の不甲斐なさを感じざるを得なかった。2回目は近西教頭先生に呼び込んでいただけたので、イングリッシュルームにてコミュニケーションを取ることができた。少しでも足を運んでもらえるように自分自身を改善していきたい。
1つの解決策としては、こちらを覗く生徒たちに声をかけていくことかな、と考えている。利用者を増やして、有意義なボランティア活動にしていきたい。また、生徒たちが食いつくことのできるような活動を考えていかなければならないな、ということも感じた。2回目のボランティアで、少し英語を用いて会話をしてみたのだが、そもそも無理だ、という意識が働いているように感じた。そこを取り払えるような活動を考えていきたいな、と思った。例えば、毎回テーマを決めて紹介していく、等のようなものでもいいかな、と考えている。
1回目で図書館、2回目でイングリッシュルーム、と話す生徒が増えてきているので、当分はコミュニケーションを主にして、英語の活動を取り込んでいければな、と考える。
また、私は、「教えるのが好きということで教師になる」という夢を抱いているので、放課後の勉強を教える活動で少しでも将来の糧にすることができればな、とも思う。この他にも、以前ボランティアとして入られていた金尾さんにも話を伺って、どのような活動を行なったのかを知って、私の見識を広め、活動に取りこめていければな、と考える。
○3回目を振り返って(12/5)
これまでの活動では、生徒たちとのコミュニケーションを取ることが主な活動であったが、今回の活動では初めて教えてみた。英語を教えるということではなかったので、少し戸惑ったが、改めて、人に教えるという行為が楽しいなと実感できた。
実は、数学Ⅰ・数学Aを教えることがメインであったが、前日の復習の甲斐もあってなんとか教えることができた。いかにして、分かりやすく教えられるのかを意識しつつ行なった。例えば、数学Aでは重心、内心、外心、比という範囲であったので、2つの三角形を水色とピンクの二色に分けて視覚的に捉えやすくした。このことで、どこの辺同士が、あるいはどこの角同士が対応し合っているのかを捉えやすくなり解きやすくなるのである。
数学Ⅰでは、三角比ということで、sinθ、cosθ、tanθはそれぞれどんな動きをするのか、を紙に図示して体感的に捉えやすくした。例えば、cosθだと、"C"の字を描くように動くということを伝えた。この他にも、tanθを求める式「sinθ÷cosθ」をそれぞれの頭文字を取って「サワコ」という覚えやすい略語を教えた。私が学生時代に覚えたやり方を伝えたのである。
しかし、英語であれ、数学であれ、教えるという行為には共通なことがある。それは、生徒たち1人1人に合わせて教えなければならないということである。どこに苦手意識があるのか、それをいかにして取っ払う手助けができるのか、をこれからの課題にして、学生生活を送っていければな、と感じた。
○4回目を振り返って(12/12)
今回のボランティアでは、定期テスト後ということもあり、イングリッシュルームではなく、図書館で行った。途中で出会った生徒会の生徒たちに付き添って、12月14日(土)に実施されるオープンスクールの校内案内順路の確認に立ち会った。あまり学内に関して詳しくなかったので、よくわかり、参考になった。私は学生時代に生徒会に入っていなかったので、どのような活動を行なっているのかを知らなかったので、いい経験になった。生徒会担当の先生にも会うことができた。教員はどのような動きをしているのかを確認できた。
生徒会の活動を付き添った後、図書館で2学期期末考査の自己採点に付き合った。特に、英語のテストがどのような内容になっているのか、興味があったので見ることができてよかった。母校の高校のテストしか見たことがなかった上に、高校を卒業してから4年が経っているのでどのように変わっているのかを知りたかった。いい経験になった。
1番衝撃的だったのは、リスニング問題がコミュニケーション英語に付加されていたことである。かつて私が受けていたコミュニケーション英語ではリスニング活動が授業に組み込まれていただけで、テストには組み込まれていなかった。令和4年度の学習指導要領改訂に伴い、5技能(聞くこと、話すこと[やり取り]、話すこと[発表]、読むこと、書くこと)の強化に伴い、変化しているのかな、と思った。この日のボランティア活動で私の知見が広がったように思える。教員採用試験に受かり、現場に出たら、テスト作成の機会が増えると思うので、今回のことを念頭に置いておきたい。
これからの課題としては、イングリッシュルームに立ち寄る生徒を増やすために、どのような工夫が加えることができるのか、ということである。室内を派手に飾り付けるだけでは、情報量が多すぎて入りづらくなるかな、とも考えられる。内容をどのようなことをしていくのかも詰めていかなければならない。実用的な英語を教えていくべきか、1月最初の活動までに固められたらな、と思う。
○第5回目を振り返って(1/9)
3学期開始、そして実力テストの日ということで、校内に生徒が、あまりいないという状況だった。イングリッシュルームではなく、図書館で実施した。生徒会の面々が図書館の飾りつけを行なっていた。そのため、私はその観察・コミュニケーションを主な活動として行なった。生徒が図書館へ足を運びやすくするためには、どのような飾りにするかを考えており、生徒主体の活動がなされているな、と感じた。それと同時に、イングリッシュルームに足を運ぶ生徒を増やすためにドアにペインティングするのも1つの方策なのではないかな、と思った。ただし、カラフルにしすぎるのは避けた方が無難かと思う。
また、活動時間の大半がコミュニケーションとなったので、実際に教員になったときのための生徒との距離感をつかむためのいい経験になった、と感じた。特に私は人見知りの性格なので、現場の生徒たちと接していくことで少しずつ慣れていければと思っている。もちろん、距離が近づきすぎないように、細心の注意を払っていきたい。
英語活動に関しては、かつて泉鳥取高校にボランティアとして来られていた金尾さんに連絡をしてアドバイスを頂いた。少しずつ実践していくことができればな、と感じている。ゲーム感覚の方が生徒の関心を惹きやすいと感じているので、そのような形式をとったものを考えていきたい。その他にも道案内などの実用的な表現の紹介などもいいのかなとも思っている。将来的に社会に出た時に役に立つような表現であるので、身に付けておいて損はないかな、と思う。
【泉鳥取高校・教育ボランティア担当教頭コメント】
自分の経験も踏まえ、生徒への接し方についても深く洞察しながら、ボランティア活動に取り組めていると思います。生徒の状態に合わせて、また、学校の特色に気を使いながら、自分なりに課題をみつけ、解決していこうという積極的な姿勢に、とても好感が持てます。私も彼のまじめな姿勢に答えるために各回の初めに、教員の心構えや知恵を伝授させてもらっています。教員になるという自分の夢を叶えることはもちろん、生徒たちの夢も、しっかりサポートしてあげてほしいと思っています。頑張れ!! (2020年1月 〔近西〕)