
本日(3月2日)、芥川高校では第39回の卒業式が行われました。式は感染症対策を十分に講じた上、各家庭1名のみの参加となりましたが、無事挙行できたことに感謝します。
第39回卒業式 式辞
春の訪れを告げる嵐のような雨の中、通いなれた道のそこかしこに梅の花もさかりを迎ています。時折吹くまだ冷たい早春の風に香りをのせ、控えめに、しかし凜として気高く咲く梅の花。荒々しい強さではなく己を律する強さを感じさせる梅の花に、卒業した後も背筋をただし、さわやかな香りを残しつつ未来へ羽ばたく君たち39期生342名の皆さんの姿が重なります。
卒業おめでとう。
今日のよき日にあたり、これまで子どもたちの成長を支えてこられた保護者の皆さま、今日の卒業式は皆さまの卒業式でもあります。子どもたちの記憶にないような小さな時から、熱を出した時の寝ずの看病、ケガをした時には病院を探しまわり、子どもがつらい思いをした時はともに涙し、嬉しいときには喜びでやはり涙を流してこられたことと思います。子どもたちは、こんなに大きく立派に成長されました。これまでのご苦労とご努力に敬意を表するとともに、大切なお子さまを預からせていただいた芥川高校の教育に対しご理解とご協力を賜りましたこと心より感謝申し上げます。
さて39期生の皆さん、あらためて卒業おめでとうございます。
今、皆さんの脳裏にはどのような思い出が浮かんでいるのでしょうか。今年度は新型コロナウイルス感染症拡大という未曽有の事態の中、抑圧された一年であったと言えます。しかし、芥川高校で過ごした三年間、皆さんはそのいずれシーンにおいても見事なまでに輝いていたのではないでしょうか。昨日、拝見したアルバムは皆さんの笑顔であふれていました。
そんな皆さんとも別れの時が来ました。私から皆さんに最後のお話をします。
2020年に開催が予定されていたオリンピックは残念ながら延期されていますが、遡ること56年前。1940年に東京オリンピックの開催権を返上し参戦した第二次世界大戦で日本は敗戦したものの、その後急速な復興を遂げました。その日本が再び国際社会に復帰する象徴となる大会が、1964年の東京オリンピックだったのです。
様々な競技の中、10月21日に行われたマラソンでは、前回のローマ大会を裸足で走り優勝した「はだしの英雄」エチオピアのアベベ・ビキラが史上初の二大会連続の金メダルを獲得しました。競技後のインタビューで「あなたにとってのライバルは誰でしたか?」という問いに対して、彼は「ライバルは67人のランナーではなく私自身です。私はその戦いに勝ったのです。」と述べています。
私たち人間は、ややもすれば楽な方に流されてしまいます。まわりの環境や状況のせいにしたり、他と比較して嘆くだけで終わってしまいがちです。そんな時、外に何かを求めがちな自分の意識を自分自身の内側に向けることができるのか。人それぞれの特性に違いがあるにも係らず、比較することに時間を費やすことの不条理に気づくことができるのか。アベベの言葉は、どんな環境や状況においてもひたすら自分と向き合っていくこと、ライバルではなく自分を超える「チャレンジ」をしていくことの大切さを伝えています。
諦めようとする最強の敵も、頑張ろうとする最強の味方も自分自身の心の中にあるのです
最後に、私の好きな詩を紹介します。
『自分の一歩』 宮澤章二
いまわたしの踏みしめる一歩は だれか他の人の一歩ではない
私の足が地上に刻む一歩は いつでもわたし自身の一歩なのだ
他の人より一歩先を歩くからといって 他の人より優れているとは限らない
他の人より一歩後を歩くからといって 他の人より劣っているとは限らない
自分の目標を定めて歩きだしたのだから 自分の一歩をしっかりと信じて進もう
その決意が最後まで歩く力を生む
出発点には「人生」などまだない 到着点にこそ わが「人生」はあるのだ
歩きつづけ生きぬいた尊い証明として
いろいろとお話をしてきましたが、健康には十分気をつけてください。そして、これまで支えてくださったご家族をはじめ仲間への感謝の気持ちを胸に刻み、内なる敵を味方にかえながら、あなたの人生の一歩を踏み出してください。
令和3年3月2日
大阪府立芥川高等学校 校 長 中山 哲也